今回のナバホ訪問は7年目、ナバホ訪問回数は10回になった。 「ナバホ研究をしています」 と人には言っているけれど、自慢できるような実績は何一つ無い。
ナバホ父のオフィスでそんな風な愚痴をこぼしていた。 これからどうやっていけばいいのか、迷っていた。 この7年で、私は失敗ばかりしてきた。 全く前に進んでいないような気がする。 「失敗」という言葉が自分の口からこぼれた瞬間、涙が溢れ出てきた。 涙はどんどん溢れてきて、息も出来ないほど泣きじゃくるような状態になってしまった。
父はしっかりと私を抱きしめてくれた。「君は何を失敗と呼んでいるんだ?」 と聞くので、「何も実績が無いこと」だと答えると、「じゃあ、実績を作ろうじゃないか?」 と父。
父は思いがけない言葉を言った。
「今回、日本のテレビ局の取材依頼が入った。 君も参加して実績を作れば良い。 君は俺の娘だ。 俺が7年掛けて、ナバホの伝統を教え込んできた自慢の娘なんだ。 自信を持て。 俺が君を招待する」
まだ不安は残っていた。 本当に私なんかが参加させてもらえるのだろうか? テレビ局の人が反対するのでは??
テレビ局の人達が第一回目の打ち合わせにやってきた時、そんな不安が一気に飛んだ。とても親切な人達で、是非協力して欲しいと言って下さった。 私を正式にガイドとして雇うとも、言って下さった。
今回の番組のテーマは「水の大切さを伝えること」。 それを聞いた瞬間、ナバホの大地がとても喜んでいるのを感じた。 ナバホ父が現在プライベートで取り組んでいるテーマも「水」。 「Water Rights (ウォーター・ライツ」 と呼ばれるこの運動は、ナバホの大地の水を守っていこう、ナバホが水を所有できる権利を守っていこう、というものだ。
ナバホ父の願いは、ナバホの伝統を守り、それを後世に伝えていくこと。 ナバホの伝統(神話)の中には、大地と共に生きる術や知恵が盛り込まれている。知恵というものはまず知ることから始める。
そして私の願いは、そういった教えを広く日本人に伝え、共有すること。 今回のテレビ取材は、そういう私達の願いにしっかりと合致していた。 それに私がタッグを組むのはナバホ父である。これ以上の環境は無い。 ナバホ父の言う通り、自信を持って精一杯お手伝いをさせてもらおうと思った。
