ある日のピースメイキングの講演会では、参加者が白人、ホピ、アパッチ、カイオワなどのネイティブインディアンの人々という風に異なる人種が集まった。このセッションでの参加者の感想が特に印象的だったので、ここに記録しておきたい。
イギリス人とドイツ人のハーフの男性
「私は誰よりも短気な性格で、そのことがいつも嫌で仕方がなかった。 しかし、今回の講演会に参加して、怒りを無理に抑える必要はないのだ、と分かった。 怒りを表現することによって、相手に気付かせることもできるし、話し合いを始めるきっかけを作ることにもなる。自分のことを頭ごなしに否定するのは、今日限りでやめようと思った」
アメリカ人女性
「私はずっと白人社会で生きてきたので、幼少時代から議論の方法を叩き込まれて成長した。 議論の時には、いかに相手に負けないように自分を表現するのか、ということに執着してきた。 しかし、今日の講演会に参加して、常に勝ち続ける必要はないということ、常に自分の意見を主張し続ける必要はないということ、時には話し合いの場に参加して、他の参加者達の意見に耳を傾けるのみでも良いのだということが分かった。 相手を打ち負かすことに重点をおいてきた自分にとっては、これらのことに気付けたことが貴重な体験になった」
幼少時代をナバホ国で過ごした、アメリカ人女性
「私は幼少時代をナバホ国で過ごしたので、自分が白人だという感覚はなかった。成人して都会に移り住み、普通のアメリカ人の中で生活するようになって初めて、いかに貴重な体験をナバホ国でさせてもらっていたのかということに気付いた。
今回の講演会を聞いていて、プエブロ族のダンス会場での出来事を思い出した。 ネイティブの人達のダンス会場では、最前列に老人や子供のための座席を用意していることがある。 ネイティブなら誰でもそのことを知っているので、前の方が開いていたとしても、決してその場所を占拠したりしない。 しかし、その日は白人のツアー客も観光に来ていた。 ツアー客達はまっすぐに開いている座席に腰を下ろした。 自分は、その人達と同じ種族であることを恥じるだけで、何も行動を起こせなかったのだが、一人の勇気あるネイティブの青年がそのツアー客のところへ行き、事情を説明した。 するとツアー客は快くその席を空けてくれたのだった。
そのときに私は、行動しなかったことを恥じた。 今日の講演で学んだ通り、白人のツアー客はただ知らなかっただけ。 ネイティブの青年は自分の持っている知識を共有することによって、ツアー客をプエブロ族の一員に引き込むことに成功したのだし、相互理解のための一助にもなった。
ホピの男性
「1880年代、ホピ部族の代表はアメリカ政府と話し合いを持つため、ワシントンDCに招集された。だが、ホピの代表者達は分かっていた。自分達が都会に出て行けば、立ち振る舞いも分からずにみじめな負け方をするだけだと。
1885年春、18人のホピがアルカトラズ刑務所に入れられ、2年間収容された。
その頃、ホピの人々がキバに集まって話し合いの場を持った。ホピが生き残るためには、白人の言葉、白人の考え方を学ばなければならない時代に入った。 ホピはあくまでもホピとして生きていきたかったのだが、白人の文化を受け入れなければ、ホピの言葉や生活習慣も滅びてしまう。
今まで、白人の文化を受け入れることは負けることだと感じてきたのだが、今回の講演の中で、受け入れることが一つの解決策のきっかけになるかもしれないと感じた」
カイオワの男性
「今回の講演を聞いて、自分がカイオワであるというアイデンティティをもう一度見直し、誇りを持つ機会が与えられた。 ネイティブの人達は、大地にしっかりと根付いている。 だからこそ、大地に対する愛情が深いのだ。 今日の講演で、知識を共有することの大切さを学んだので、今後は部族内での知識の共有や、広く白人の人達への知識の共有にも携わっていこうと思う」
