乗馬を終えて、ラコタ兄の従兄弟の家に戻った。落馬した女性は少し眠ったそうだ。容態が良くなったようには見えない。立ち上がるとひどい頭痛がすると言って、女性は吐いた。
やはり、病院で手当てを受けた方が良い。そこで、女性を病院に連れて行くことにした。
病院までは車で一時間半ほど。私と年配の女性2人組と共に、ピックアップトラックの荷台に乗った。
私はこの2人の体調が心配だった。今回のツアーは実にハードだ。飛行機を3本も乗り換えてラピッドシティまでやって来て、休む間もなく連日あちこち出かけていたからだ。
2人は私の母と同じ位の年齢だった。 疲れていないはずがない。 それなのに、この2人はいつもパワフルで、周囲に気を配ってくれている。 私達が乗馬ツアーに出掛けた後にも、落馬した女性を起こさないように気遣いつつ、様子を見てくれていたらしい。
「お2人とも、体調は大丈夫ですか?」 と私は2人に尋ねた。
「大丈夫だよ。この旅行に来る前に、2人で固い約束をしたのよ。 絶対に無理はしないって。 だからなるべく早めに寝るようにしてるし、体調には気を付けてる」 2人はそう言ってくれた。
私は将来、今ボスがやっているようなツアーを組んで、お客さんにナバホ国を案内したいと考えている。 でも、今日の落馬事故を体験して、やっぱりまだまだ先になるな、と感じていた。 お客さんを連れて行くだけなら、誰にだってできる。 でもいざと言うとき、何かあったときに、対処できるのかと聞かれると、私にはまだまだ実力も自信もない。
2人はこんな話をしてくれた。
「私達はボスと長い付き合いをしているの。 その中で、確実な信頼関係を築き上げる事が出来た。 このツアーに参加しようと決めたのも、ボスを信用しているからよ。 だって、そうでしょ? アメリカ・インディアン保留地に行くツアー、つまりどんな所なのか全く分からないところへ連れて行かれる訳じゃない? 信頼関係が無かったら、絶対お客さんは来ないわよ」
確かにそうだ。 ラコタ兄の家では、シャワーは使えないし、トイレも屋外のものを使う。 ちょっとした買い物に行くまでに、数時間車を運転しなければならない場所なのだ。そういうツアーに参加してくれるというのは、勇気のいる事だと思う。
2人はこう付け足してくれた。「いずれ、あなたがナバホ・ツアーを組むなら、私達は是非参加させてもらうわよ。それまでに、いろんな人達とも、しっかりした人間関係を築いておきなよ」
2人の言葉が胸に染み込んでいった。そうしよう。今回のツアーで、ボスからたくさん学ばせてもらおう。人間関係のしっかりした絆の結び方を、学ばせてもらおう。
お二人とも、良いお話をどうもありがとうございました。
