21.お別れ会 ラコタツアー

私の体調も戻ったので、全員揃ってラコタ兄とのお別れ会をすることになった。

ツアーメンバーが一人づつ、ラコタ兄に今回のツアーの感想やお礼を述べていく。

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最初に切り出したのは 若い男の子。

自分はずっとビジョンを探し続けてきた。このツアーに来る少し前に、付き合っていた彼女が自分の元を離れて行った。原因は、自分がまともな職に就いていなかったから。そのことでとても傷ついた。何が正しい事なのか、自分はこれからどうしたいのかをずっと考えていた。このツアーに参加したのは、もしかしたらその答えが得られるかもしれないと思ったから…

それについて、ラコタ兄はこんなコメントをした。

「私自身もパートナーシップを組むために、長い道のりを歩いてきた。今のパートナー(ラコタ姉)に出会い、落ち着くまでに、2回結婚したが、うまくいかなかった。前の結婚に関しては、彼女の方はパートナーシップを組む準備が出来ていたのだが、私はまだ準備が出来ていなかった。だからうまくいかなかった。ビジョンを見付けることも、パートナーシップを組むことも、人それぞれタイミングが異なる。

だからまず君は、自分の内面を見つめる所から始めなければならない。自分の中の男性性と女性性を認識し、うまくバランスを取り、調和させること。つまり、自分の内面での結婚をさせることが先。そうしなければ、別のスピリット、つまり他の人とのパートナーシップなど築けない。

ビジョンも同じことが言える。初めから遠くを見ていても、何も見えない。どこを見れば良いのかというポイントが分からないからだ。まずは一番近い所、つまり自分を見つめる所から始める。自分というものを思い出す。自己を確立する。そこから始めて、段階を経て旅を続けていってください」

ここでボスが一言、T にこう言った。

「つまり、今の君に必要なのはグラウンディングだ」

グラウンディングというのは、一言で言うと、地に足を付けること。木を想像してもらいたい。しっかりと大地に根を張っている木は、どんな大雨に会おうが、どんな大風が吹こうがびくともしない。人間も同じ。成長していくためには、まず核となる部分を根付かせなければならないのだ。

グラウンディングは、エネルギーの循環のためにも必要である。エネルギーを宇宙からもらい、不要なものは大地に戻していく。地に足が付いていない人は、このエネルギーの循環ができない。つまり、エネルギーが中に留まってしまうのだ。そうなると、新しいエネルギーの入る余地が無くなる。新しいものを手に入れるためには、古いものを手放さなければならない。

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次に話し始めたのは、もう一人の若い男の子。

僕は人と打ち解けるのが上手い方ではない。家族とも上手くコミュニケーションが取れていなかった。でもこのツアーメンバーとはすぐに打ち解ける事ができた。みんな、ごく自然な形で、僕のことを輪の中に入れてくれた。それに、現地の子供達とも自然に打ち解けられた。そういうことが、とても嬉しかった。帰国したら、家族ともこの体験を分かち合いたいと思う…。

ラコタ兄のコメント。

「あなた達はみんな、この大地に呼ばれたから、このツアーに参加することになったのです。何故なら、この世で起こる事にはすべて意味があるからです。帰国したら、この大地で体験したこと、感じたことを、あなた達の家族や友人達と分かち合ってください。そしてまた是非、この大地に戻ってきてください。来るたびに、前回とは異なった体験をすることができると、私は確信しています」

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60代女性の話。

私の夫は、子供達がまだ幼い頃に他界した。小さな子供3人を抱えて、私は必死で生きてきた。今は、子供達も立派に成人して、孫も3人いる。これからは、自分のために時間とお金を使っても良いのではないかと思った。このツアーに参加しようと思ったのは、そういう理由から…。

このツアーでは、みんなから本当に大切にしてもらい、気遣ってもらった。だからとても楽しく過ごせた。このツアーで出会えた皆さんに、本当に感謝しています。

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落馬した女性客の話。

落馬事故の件では、皆さんにご心配をお掛けしてしまいました。皆さんの優しい気遣いや、思いやりに触れることができ、本当に感謝しています。スウェットロッジでの祈りも、本当にありがとうございました。

ラコタ兄のコメント。

「落馬は誰のせいでもなく、意味があって起こったことです。その意味を、いつかあなたが、あなた自身の方法で見付け、そこから学べることを祈っています」

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60代女性のの話。

私達の年代の人達は誰でも、戦後の貧しい子供時代を送ってきました。そんな中、私達は 「もったいない」 という精神を確立してきました。どんなものでも、使えそうなものは工夫して再利用する、最後までとことん使う、粗末にしない。そういう風にして生きてきました。このツアーで保留地での生活を体験して、その 「もったいない」 という精神を思い出すことができました。

このツアー参加は、家族、特に夫の暖かい理解があったからこそ実現できました。帰国したら、この旅で体験したことを家族と共に分かち合うつもりです。

彼女はは話している最中に、少し涙を流した。

ラコタ兄のコメント。

「ものを大切にするということは、とても良いことです。

保留地の若者達はみな、便利な生活を求めて外に出て行きます。そうして、保留地から、段々と人が減っているというのが現状です。でも私は、こう思っています。私達がまず自分の故郷に戻り、自分の周囲の世話をする所から始めることが大切だと…。 白人の作り上げた外部の世界は、確かに便利な暮らしを保証してくれます。でもそれらは、いつまでも続くわけではない。何故なら、自然から奪うばかりの生活では、やがてその資源を使い果たしてしまうからです。

私達は保留地の中で、自然と共存して生きています。自然から何かをもらったら、必ずお返しをしています。そんな風にして、自然に生かさせてもらっている訳です。今回あなた方が保留地での体験から感じたこと、得たことを、どうか家族や友人達と分かち合ってください。

それから、あなたはとても良いご家族を持っていらっしゃるようですね。どうかこれからも、あなたのご家族を大切になさってください」

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若い女性客 の話。

このツアーに参加するのは、2度目。またこの大地に戻ってこられて嬉しかった。旅の中で、ラコタ兄やココから大切なメッセージを受け、それらがすべて現実なのだと実感した。今回学んだ事を、帰国してからじっくりともう一度考えてみたい。

ラコタ兄のコメント。

「また、是非戻ってきてください。

それから、私から君への個人的なメッセージ。“もっともっと、自分に自信を持って話しなさい”」

私もラコタ兄に続いて、「そうだよ。もっと自信持って、堂々としてなよ」 と付け加えると、ボスがニヤリと笑い、女の子 に向かってこう言った。

「コイツに “お前もな” って言い返してやってくれ!」

……。この人には敵わない。何でもお見通しだ。 そう、実のところ、私が彼女を励ましているときにはいつも、自分自身に対しても同じ言葉を言い聞かせるように話していたのだった。

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ラコタ兄からみんなへのコメント。

「この旅で、みなさんと共に知識や体験を分かち合えたこと、また共有できたことに感謝しています。貴重な時間を、ありがとうございました。またどうぞ、戻ってきて、私達とこの大地に会いに来てください。」

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それから私達のお別れ会は終了した。みなそれぞれが、ラコタ兄が固いハグをして見送った。